2012年10月8日月曜日

CD応用演習2012#03 Gainer -Physical Computing Workshop-

こんにちは,たろぐです.

第3回はPhysical Computing Workshopということで,Gainerというものをやりました.
Gainerはブレッドボードという比較的容易に回路を組むことができる簡易基盤を用いることでI/Oモジュールを実現する仕組み(パッケージ)です.フィジカルコンピューティングというのはみなさんにはあまり馴染みのない言葉かもしれませんが,人とコンピュータとのやりとりについて考える分野で,人の身体性を重視した方向性を提案しています.例えば入力をキーボードとマウスに限定するのではなく,人が行う所作でもっと自然にコンピュータとのやりとりができないかといったことですね.キーワードとしてはインタラクションとかマン・マシン・インターフェース(ヒューマンインターフェース)とかコミュニケーションとかが挙げられます.GainerはAnalog/Digital入出力をサポートしているので,センサーに応じてさまざまな状況(入力)を評価することができるようになっています.



フィジカルコンピューティングをやることのメリットとはなんでしょうか?先ほど云ったように身体性というものが挙げられます.このことを僕らがこれから取り組む学習支援コンテンツに関連付けて考えてみましょう.
言うまでもないことですが,学校の学習教材としては教科書が一番の基盤になっています.これはとても静的で,文字とせいぜいイラストや写真という情報で構成されていますね.教科書は基本的に読む/見るということしかできません.教科書とのコミュニケーションはこれくらい静的でしかも受け身なものです.
一方で,僕らは既に生田緑地にフィールドワークをしに行きましたよね.そこで何をしたでしょうか?土を触って指でこねて山を歩き回って崖を見上げてと身体感覚でさまざまな情報を取り入れたと思います.これらは教科書では手に入らない状況との対峙で手に入る「生の情報」です.
ただ,これらは整理されていない,ただの状況ですよね.生田緑地の山や宇宙にある月や太陽は直接僕らに何か知識を与えてくれるようなことはありません.もちろんそれ以前に教室には持ってこられません.そういった部分をソフトウェアに補助してもらいつつ,身体性をできるだけ充実させて「実感」に近づける,というのがフィジカルコンピューティングを教材に取り入れるメリットのひとつだと思います.なので,皆さんが出していたアイデアの中にも見かけましたが,クイズ番組みたいな回答ボタンを押すのって子どもが好きだよね,みたいな感覚で僕らが作ろうとしているような教材をデザインしてもなんの意味もないということを気をつけて欲しいなと思いました.




そういったことを考えていくと,教科書や図版といったものから得られる俯瞰した知識(従来型の学習)と,それを現実の現象や環境,実体験(フィールドワーク)とを繋げられるような仕組みが今回みなさんがデザインするコンテンツに求められているということなのです.実はこれは栗芝先生が初回の授業のスライドで提示してくださっています.




もちろん,環境とのコミュニケーション全てがフィジカルコンピューティングで代用することができるということではないので,どの要素が身体感覚に近づけられるかといった議論が必要になります.また,フィジカルコンピューティングとはGainerを使わなければ実現できないことでもないので,工夫によっては別の手段(より機械的であれより電気的であれ)を検討することもできます.そこはみなさんの作るコンテンツ次第ですね.




今回はOBの先輩たちが来てくれました.タイミングの都合で紹介できなかった人もいますが,皆さんネ学を楽しんで卒業し,今もネ学や在学生に関心を持ってくれている先輩たちです.これはとても嬉しいことですし,ありがたいです.
授業開始時に紹介した安井先輩は在学中フィジカルコンピューティングなどでコンピュータと人との関わり方に関心を持ち,素晴らしいことに界隈の業界で仕事をしている人です.彼はGainerに限らずフィジカルコンピューティングについての最新の情報をフォローしているので,機会があればみなさんの助けになってくれるでしょう.数年前にはSAとしてこの授業手伝ってくれていますし,その前にはCD演習(当時はCD基礎演習/総合演習でした)の受講生としてみなさんのように参加してきているので,安井くんとは長い付き合いですし,長く助けてもらっています.時間があればまた顔出してくれると嬉しいですw 今年もよろしくお願いしますw




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